作品概要
解説 (1)
解説 : 樋口 晃子
(796 文字)
更新日:2019年2月9日
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解説 : 樋口 晃子 (796 文字)
Deux nocturnes op. 32
この2曲のノクターンは1837年に作曲され、初版はパリ(M. Schlesinger, 1837)、ベルリン(A. M. Schlesinger, 1838)、ロンドン(Wessel, 1837)で出版された。
No. 2 変イ長調
第1番の例外的な形式に対し、このノクターンは簡潔な3部形式(A, B, A’)からなる。それに加えて、Aを導く序奏と、A’の後に終結部(曲尾の二小節)がついているが、この序奏と終結部はコラール風の全く同じ2小節である。レントの速度指示があるものの、ショパンのノクターン中、とりわけ明るく軽快、かつ感傷的な作品である。
Aの主題は、夕暮れ時、ギターやマンドリンなどを片手に窓辺で歌われるセレナードの雰囲気をまとっている。実際、素朴な歌をささえる伴奏は軽快なギターのつまびきを思わせる。主題は、A中で何度も繰り返されるが、その音域や音型は、ソプラノ歌手のためのオペラ・アリアに非常によく似ている。
中間部Bの主題はAの主題から派生しているが、Aとはきわめて対照的な曲想である。Bに入って、調性は平行調のへ短調に、拍子は4/4拍子12/8拍子に変化し、両手が8分音符単位で同一のリズムで和音を刻む。第35小節からは音の層と動きが増し、右手の半音階的進行とあいまって情熱的な高まりを見せる。第39小節からは第27~38小節を半音上の嬰へ短調で繰り返し、この半音上への転調によって、中間部Bはより一層激しさを増しffに達するが、その後もクレッシェンドを続ける。
A’ではAがそっくりそのまま回帰するが、中間部Bの激しさを引き継ぐかのように「情熱的に」Appassionatoという指示のもと、ffで主題が戻ってくる。そして、終結部へと向かう第71小節からの非和声音を含む5連符の揺れによって、ようやく激しさが緩和され、静かに曲を閉じる。
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