作品概要
解説 (2)
解説 : 屋野 晴香
(293 文字)
更新日:2018年4月19日
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解説 : 屋野 晴香 (293 文字)
林古渓作詩、成田為三作曲による唱歌。初出詩は大正 2 年(1913)《浜辺の歌》ではなく、《はまべ》のタイトルで東京音楽学校校友会詩に発表されたものである。「作曲用試作」との一 言が添えられており、当時山田耕筰に作曲を師事していた成田以外の学生も、この詩に作曲し ていた可能性がある。作曲時期はおそらく大正 4~5 年頃とされており、大正 7 年、当時人気 の画家であった竹久夢二の装丁を施して《濱邊の歌》としてセノオ楽譜より出版された。しかし自筆譜から、タイトルの改定は成田自身によるものではないと推測されている。詩の原風景 は、林が幼い頃を過ごした湘南の海岸であると考えられている。
解説 : 長井 進之介
(564 文字)
更新日:2018年4月19日
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解説 : 長井 進之介 (564 文字)
この歌曲は、東京音楽学校の雑誌『音楽』に「はまべ」として掲載された林古渓(1875~ 1947)の詩に、当時まったく無名だった成田為三が 1916 年に曲を付けたもので、成田の音楽学校時代の後輩、倉辻正子にラブレターとして譜面を送った曲だとされている。古渓の詩は本来、第 4 番まで書かれていたが、出版される際に出版社が勝手に第 3 番と第 4 番を合体させてしまった。さらに現在教科書などに掲載されている歌詞は第 2 番まで、ということが通例になっている。寄せては返す波を描写するような音型を終始奏でるピアノの伴奏にのせて、起伏のあるのびやかな旋律が歌われていくが、第 1 番の歌詞では朝の浜辺、第 2 番では夕方の浜辺を歩きながら考え事にふける人物の様子が歌われており、詩の中で経過していく時間や心情を、歌唱旋律やピアノパートの音型が少しずつ和声や動きを変化させながら描写していく。なお、 ヨハン・シュトラウス 2 世のワルツ《芸術家の生涯》の旋律との類似が指摘されている。この旋律そのものを成田が念頭に置いたかは不明だが、当時の彼は東京音楽学校在学中の学生であり、ドイツから帰国したばかりだった山田耕筰 (1886~1965)に教えを受けていたため、少なからずドイツやオーストリアの音楽から影響を受けていたのは確かである。
編曲・関連曲(22)
橋本 晃一: ピアノひけるよ!シニア1 13. 浜辺の歌(成田為三)
総演奏時間:0分50秒
ステップレベル:基礎1,基礎2,基礎3,基礎4
久木山 直: 浜辺の歌~もっとやさしいオトナピアノ(成田為三)
総演奏時間:0分55秒
ステップレベル:基礎1