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スタマティ :グレトリの《エミールとアゾール》のアリア〈恋する瞬間から〉

Stamaty, Camille Marie:Du moment qu'on aime, air de Zémire et Azor de Grétry, transcription variée

作品概要

出版年:1863年 
初出版社:Heugel
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:パラフレーズ
総演奏時間:5分10秒

解説 (1)

執筆者 : 上田 泰史  (585文字)

更新日:2012年12月11日
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A.-E.-M. グレトリ(1741-1813)は18世紀後半にフランスで活躍した作曲家で、19世紀においても過去への関心からその声楽曲はパリ音楽院や劇場で上演された。『ゼミールとアゾール』は後に「美女と野獣」というタイトルで一般に知られるようなる物語。編曲の基となったこの舞台作品はフランスの古典的劇作家モリエールの時代に興隆したコメディ・バレ(話される言葉、歌、情景を繋ぐ合奏曲で物語が進行される踊りを中心としたジャンル)の一つで、スタマティはその第3幕でアゾール(野獣)がゼミール(美女)を邸宅に迎え入れる際に歌う有名なアリアを取り上げている。変奏トランスクリプションTranscription variéeは彼が好んだ独特の作・編曲法で、前半にアリアの完全な編曲を置き、次に一つ以上の華麗な編曲が置かれる。原曲はA-B-Aという形式の典型的なダ・カーポ・アリアだが、忠実に編曲されるのはA-Bまでで、これに変奏されたA-B-Aが続く。変奏は装飾的パッセージの追加の他、右手の広音域に亘るアルペッジョの中に旋律を組み込むという19世紀後半の典型的なピアノ書法に基づく。コーダにおいて異質な旋律的着想を導入することなく、既存のモチーフだけを巧みに用いる禁欲的な構成法は如何にもスタマティらしい。将来の音楽院ピアノ科教授となる若きピアノの達人ルイ・ディエメールに献呈。

執筆者: 上田 泰史 

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