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ショパン :2つのノクターン (第11・12番) Op.37 CT118-119

Chopin, Frederic:2 nocturnes (g;G;) Op.37 CT118-119

作品概要

作曲年:1838年 
出版年:1840年 
初出版社:Leipzig, Paris, London
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:ノクターン
総演奏時間:10分00秒

解説 (1)

執筆者 : 樋口 晃子 (1850文字)

更新日:2010年1月1日
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Duex nocturnes op. 37

この2曲のノクターンは1838年から39年にかけて作曲され、初版はパリ(Troupenas, 1840)、ライプツィヒ(Breitkopf und Hartel, 1840)、ロンドン(Wessel, 1840)で出版された。献呈者の記載はない。この2曲は、当時人気女流作家であり、ショパンと恋仲にあったジョルジュ・サンドと共に行ったマヨルカ島への船旅の前後に作曲されたと考えられている。この経験と本作との関連は不確かであるものの、第2番には舟歌風のセクションが現れる。

No. 1 ト短調

このノクターンも、複縦線で仕切られた3部形式(A, B, A’)からなる。

絶えず緩やかなマーチ風のリズムで歩みを進める左手の伴奏音型にのって、声楽のベル・カント様式を想起させる装飾が施され、物憂げな主題(mm. 1-8)が右手で奏でられる。この主題はAで3回現れるが、反復ごとに前打音やフィオリトゥオーラが加えられたり(m. 18, 19やm. 36 etc.)強弱に変化が付けられたりする(1回目p-f、2回目f-ff、3回目p)。ここにはショパンの初期ノクターン以来意識して行っていた「同語反復」回避の旋律書法が顕著に認められる。Aで注目すべきは、6小節目に見られる3-3-3-3という指使いである。連続する複数の音符に対して同じ指を連続的に使用することは一般的ではないが、ここでは三連符と4分音符の各音が、均質というよりは幾分粗野な仕方で際立たたせられることが示唆されている。

変ホ長調のBでは終始一貫して、温かく豊かな響きの4声体コラールが奏される。ノクターンへのコラールの導入は既に第6番(1833)に見られるもので、旋律的なAと好対照をなし、宗教的な厳粛さをいっそう強めている。後半には印象的なフェルマータが4度挿入され、これによってコラールの終結が予示される。

主題が再現するA’はこのノクターンの場合、Aが大幅に縮小される以外、ほとんど変化は見られない。曲の結尾はト短調の同主調であるト長調のIV(c-e-gの和音)による変格終止に続くト長調の主和音で終わる。ショパンのノクターンにあってはこのようにピカルディ終止や変格終止、またはその両方を用いる曲は典型的である。

No. 2 ト長調

このノクターンにはA, B, A’, B’, A’’, Codaというロンド風の形式を認めることができる。但し、全体を通して、転調が極めて頻繁に行われ主調のト長調がほとんど現れないのが特徴的である。例えば、Aでは、mm. 1-3、mm. 6-7とmm. 21-22にかけて一瞬ト長調が現れるのみである。

Aでは大きい跳躍音程を含む左手の分散和音の伴奏音型にのって奏でられる、3度や6度といった重音からなる右手の主題が特徴的である。主題がこのように冒頭から重音で提示されるノクターンは、21曲中このノクターンだけである。これら3度や6度の急速な連続は煌びやかな音響効果をもたらすと同時に、この曲にエチュード的な側面も付与している。

対照的にBでは、符点2分音符の左手に支えられ、飾り気のない素朴なバルカロール風の主題が奏でられる。主題のアウトラインはパターン化されているが、A同様、次々と自由に転調を繰り返し、ここではA以上にト長調の響きは聞こえてこない。その転調経過をたどってみると、ハ長調(m. 28-)、ホ長調(m. 36-)、嬰ハ長調(瞬間的だがm. 45)、嬰へ短調(m. 46-)、変イ短調(m. 48-)、ヘ長調(m. 51-)、変ロ長調(m. 53-)、ニ長調(m. 60-)、そしてようやくト長調(m. 66-)に到達する。ハ長調からホ長調、変ロ長調からニ長調へという長3度上の調への3度近親転調は、ショパンが好んで用いた転調である。

これに続く、A’(A’’も同様)はAの縮小形であり、B’はBと同じ長さだが、転調経過が異なる。A’には半音階進行するバスによって期待されるカデンツが次々に裏切られ、とりとめのない雰囲気を助長される(mm.81-85)。このB’には、嬰ト長調(m. 91-97)や嬰イ短調(m. 98-102)というト長調からかなり遠い調も含まれている。m. 132のフェルマータの後のコーダにおいて、Bでは主題として一度も現れることのなかったト長調でBの主題の一部が奏でられた後、最後にト長調のV- I の和声進行をpppで響かせ、曲を終える。

執筆者: 樋口 晃子

楽章等 (2)

第11番 Op.37-1 CT118

調:ト短調  総演奏時間:4分30秒 

第12番 Op.37-2 CT119

調:ト長調  総演奏時間:5分30秒 

楽譜

楽譜一覧 (20)

その他特記事項
ノクターン番号はパデレフスキ版による。