カバレフスキー :30の子供の小品 小さい歌 Op.27-2

Kabalevsky, Dimitri:30 Children's Pieces A little song Op.27-2

作品概要

楽曲ID:44184
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:曲集・小品集
総演奏時間:0分50秒
著作権:保護期間中
ピティナ・コンペ課題曲2024:A1級級

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:基礎2 基礎3 基礎4 基礎5 応用1

楽譜情報:15件

解説 (1)

演奏のヒント : 杉浦 菜々子 (632文字)

更新日:2024年3月11日
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1~2小節、3~4小節の左手のフレーズは波の満ち引きのように、2つめの音に引き寄せられては、元の音に戻っていきます。元に戻ったという感覚を持って聴いてみてください。2小節目と4小節目ではdの音がdisに変化したことによって、引き起こされる心境の変化があると思います。4小節目の響きは、不穏さや不安感でしょうか。その後に待ち受ける5小節目からのmfは、大きさが強くなるというよりも広がりと響きを感じて演奏すると良いと思います。9小節から12小節の左手は、半音階で下行し続けます。それに伴い、右手は上行し、両手で広げていくようにクレッシェンドすると、12小節目のクライマクスに向かっていけると思います。残る13小節目から最後にかけて左手は再び半音階の下行形ですが、今度は終始pで、静かな緊張感を持って歌いましょう。

この「小さい歌」は、美しく歌わせたい曲ではありますが、孤独感や自分にはどうすることもできないことを抱えた想いなどを秘めた心を反映させた歌であると思います。それはカバレフスキーの生きた時代や人生を顧みることで想像できます。そのような曲の深みに共感し、代弁者となって歌うことが要求されるでしょう。冒頭に代表されるメロディの上行形のモチーフは、暗闇から光の差すところに手を伸ばすようにも感じます。全体には、静けさの中に、強い気持ちが隠されていることを念頭に置きながら、美しいメロディとハーモニーをあまりに解放的になることなく内省的に表現するのがよいと思います。

執筆者: 杉浦 菜々子

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