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バッハ :パルティータ 第4番 ウーヴェルテュール BWV 828

Bach, Johann Sebastian:6 Partiten Nr.4 Overture

作品概要

楽曲ID:39170
楽器編成:ピアノ独奏曲 
ジャンル:組曲
総演奏時間:5分40秒
著作権:パブリック・ドメイン

ピティナ・ピアノステップ

23ステップ:展開1 展開2 展開3

楽譜情報:11件
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解説 (1)

演奏のヒント : 大井 和郎 (824文字)

更新日:2023年4月16日
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このオーバーチュアは2つの異なった部分に分かれています。1つめはゆっくりしたテンポで始まり、多くの装飾音、トリル、細かい32分音符が多く書かれています。この冒頭の部分を演奏するには、フランス序曲(フレンチオーバーチュア)を知っておく必要があり、ご存じ無い方はまずこのフレンチオーバーチュアからお調べいただき、何曲かフレンチオーバーチュアを聴いて特徴をつかんでください。

この最初の部分のリズムは厳格に守るものでは無く、フレンチオーバーチュアのように、実際の演奏は付点のリズムが書いてあるリズムよりきつくなります。これがまず一つ。そしてもう一つ必要なのは即興性です。もちろん、拍子やリズムやテンポは守られなければならないものの、多くの部分は即興的に演奏されなければならなく、よって、多少のテンポの遅延やリズムの崩れは否めません。しかしそのようなものだと思ってください。

次に9/8拍子に変わってテンポが速くなる部分の説明です。この部分の主題は18小節目から始まりますが、主題の最初の音はどれでしょうか?実は18小節目、1拍目の最初に書かれている、前の小節からタイでつながれている右手のDは主題には含まれません。

20小節目をご覧ください。右手1拍目表拍は8分休符が書かれています。主題は、拍の表からでは無く、ご覧いただいているように裏拍から始まります。この場合、Fisからですね。そして、21小節目2拍目表拍のAまでとします。

次に25小節目をご覧ください。バスに主題が来ていますが、前述したとおり、この場合も1拍目裏拍のCIsから始まります。そうなると表拍にあるオクターブ上のCisは何かというと、24小節目のバスの(最低部の)フレーズの終わりの音と判断します。

故に、仮に、25小節目の左手の主題を大きく出したいと思ったら、表拍のCisはフレーズの終わりと判断しますので、できる限り小さい音量で弾き、裏拍のオクターブ下のCisから音量を上げるようにします。

執筆者: 大井 和郎